高稲荷神社
廣徳寺のすぐ東隣にある。若者が大蛇に見込まれて沼に引き込まれたという「高稲荷と大蛇」伝説が伝わる。石神井川の南側に小高い崖があり、川が大きく蛇行して淀みを形成し昼でも薄暗く、霊的な何かを感じさせる地域だ。高台に稲荷があるので「高稲荷」と言われたと伝わる。
現在では桜の名所として知られ、高台の下は公園として整備されている。
<ねりまの昔ばなし>
この近くの旧家の篠家の若者も、よく釣竿をかついで魚を捕りに行きました。若者は魚を捕るより、紅葉を見に来る美しい娘さんに会うのが楽しみだったのです。
ある日いつものように若者がいそいそと沼にやってきましたが、どうしたことか、その娘さんの姿がありません。あちらこちら沼の周りを探しますと、娘さんは沼の奥の薄暗い淵に立っていました。胸を躍らせて近づいた若者は足を滑らせて沼に落ち、そのままずるずると深い沼の底に沈んでしまいました。後には釣竿とびくが浮いているだけでした。
村人は若者が大蛇に見込まれて、沼に引き込まれたに違いないと、その霊を慰めるために、沼を見下ろす崖の上に「高稲荷神社」をお祀りしたということです。